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EXHIBITION REPORT

第40回 東京モーターショー2007

充実のハイブリッド
国内登場間近のクリーンディーゼルも多数

2007年10月26日から11月11日の17日間、千葉・幕張メッセで「第40回東京モーターショー2007」が開催された。大きな話題となった日産のGT-Rがお披露目された一方で、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)、燃料電池車(FCV)などの電動自動車が数多く発表された。同じ環境負荷軽減という意味で期待の高まるディーゼル車の出展にも注目が集まった。これら電動自動車とディーゼル車を中心に主な展示をレポートする。 日産自動車の「GT-R」
会場の様子と注目を集めた
日産自動車の「GT-R」

EV、HEVの発表が目白押し

図1 トヨタ自動車の「i-REAL」 図2 「i-REAL」の走行モード
図1 トヨタ自動車の「i-REAL」
走行モードが切り替わることで歩行エリア、車両エリアで活用できる一人乗りのコンセプトカー。これは占有スペースを抑えた歩行モードの形態。
図2 「i-REAL」の走行モード
ホイールベースを延長し、重心を低くすることで安定した走行性を生み出す走行モード。

 トヨタ自動車の「i-REAL」(図1、図2)は、以前より提案してきた一人乗り自動車である「PM(パーソナルモビリティ)」。「i-unit」「i-swing」に続く進化型。動力源はEVで、車輪のレイアウトはi-swingと同じく3輪構成だが、フロント2輪、リア1輪の構成に変更。より小型化され全幅が700mmと、より人に近いサイズとなった。
走行状況に合わせ、ホイールベースが可変する二種類の動作モードを選択できる。歩道ではホイールベースを短くすることで全長が995mmとコンパクトになる。占有面積を小さくし、また歩行者と目線を合わせてコミュニケーションも取りやすくなる歩行モードとなる。そして車道ではホイールベースが伸び、重心を低くすることで安定した走行を可能とする走行モードに変化する。

 

 

原点から見つめ直す

図3 トヨタ自動車の「1/X」 図4 トヨタ自動車の「Hi-CT」
図3 トヨタ自動車の「1/X」
軽量化&3種のエネルギーに対応したハイブリッドエンジンで、従来のクルマと変わらない室内空間と約1/2の低燃費を両立する。
図4 トヨタ自動車の「Hi-CT」
プラグインハイブリッドシステムを搭載し、エコだけでなくクルマを使った新たな遊びをも提案できそうなコンセプトカー。
図5 トヨタ自動車のハイブリッドスポーツコンセプト「FT-HS」 図6 トヨタ自動車の「クラウン・ハイブリッド・コンセプト」
図5 トヨタ自動車のハイブリッドスポーツコンセプト「FT-HS」
スポーツカーならではの走る楽しさと、ハイブリッドならではの環境性能を両立する。
図6 トヨタ自動車の「クラウン・ハイブリッド・コンセプト」
ハイブリッドシステムやVDIMなどを搭載、次世代の高級セダンのあり方を提示する。

 自動車としての仕様、性能、材料など、そのあり方を原点から見つめ直した環境コンセプトカーが「1/X」(図3)。「プリウス」と同等という従来通りの室内空間を確保しつつも、車両重量を約1/3となる420kgにまで低減することで、プリウスの約2倍という低燃費を目指したクルマだ。ボディの骨格は軽量でかつ高剛性な素材である炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用、軽量化を実現すると共に、優れた衝突安全性を確保している。
500ccのガソリンエンジンをベースにバイオエタノールも使用できるFFV(flex fuel vehicle)、さらに外部電源から充電できるプラグインハイブリッドシステムを採用。燃費向上、排出ガスのクリーン化や多様なエネルギーへの対応を目指した。
 若者の思考や生活から生まれた都市型ヴィーグルと題され、個性的なスタイルで異彩を放っていたのが「Hi-CT」(図4)。一見ピックアップトラックのようなデザインでありながらサイズは3300×1695×1780mmとコンパクトな4人乗り。リアには自転車やサーフボードが搭載できる後部デッキを備え、脱着可能なトランクボックスも用意している。動力源にはプラグインハイブリッドを採用。全長が短く、全高が高い独特のスタイルにより電池をすべて床下に収納した。  現状のラインナップにスポーツカーがないトヨタだが、ハイブリッド技術を盛り込んだ次世代スポーツカーのコンセプトが「FT-HS」だ(図5)。動力はV6、3.5リッターのガソリンエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせ、FRレイアウトで後輪を駆動。クルマを操る楽しさと、低燃費によるCO2排出量削減、低エミッション、静粛性を追及。これまでのスポーツカーではありえなかった圧倒的な環境性能を目指す。スタイリングも独特で、ルーフパネルの開閉が可能。クローズ時は2+2レイアウトのクーペとして、オープン時は2シーターとして楽しめる。
 伝統のフラッグシップ・セダン「クラウン」の次世代コンセプトが「クラウン・ハイブリッド・コンセプト」だ(図6)。ハイブリッドシステムは2段変速式リダクション機構を持つ「THSII」。統合制御システムVDIM(vehicle dynamics integrated management)も採用した。室内には、TFT液晶による「ファイングラフィックメーター」を装備し、ドライバーにさまざまな情報を、より鮮明に見やすく表示する。ミリ波レーダーを使用して歩行者などを検知するプリクラッシュセーフティも搭載している。

SUV市場にもハイブリッドで挑戦

図7 レクサスの「LF-Xh」 図8 レクサス・ハイブリッドのメカニズム
図7 レクサスの「LF-Xh」
ハイブリッドシステムを搭載したレクサスのSUVコンセプト。
図8 レクサス・ハイブリッドのメカニズム
レクサスブースでは「LS600hL」のコンポーネントも展示されていた。

 トヨタはレクサスブランドから、次世代SUVコンセプトである「LF-Xh」を出展した(図7、図8)。国内ではトヨタ・ハリアー、北米市場ではレクサスRXとして販売されている車種の次世代モデルと見られる。モデル名の末尾に付く「h」はハイブリッドを示し、「レクサス・ハイブリッド・ドライブ」により、走行性能、静粛性、低燃費とCO2の削減、低エミッションを高次元で追及したという。
 動力はV6ガソリンエンジンと高出力モーターを組み合わせたハイブリッド。駆動方式はSUVらしくAWD(all wheel drive)を採用。レクサスの設計哲学「L-finesse」を具現化したというデザインは存在感がある。

360度自由に回転

図9 日産自動車の「ピボ2」」 図10 日産自動車の「ピボ2」
図9 日産自動車の「ピボ2」
インホイールモーター、バイワイヤなどの技術が盛り込まれた電動シティコミュータ。
図10 日産自動車の「ピボ2」
ピボ2は3人乗りの球形キャビンが360度回転、ドアは前面に配置され、どの方向からでも乗り込むことができる。

 日産自動車は、環境に優しい電動シティコミュータとして「ピボ2」を出展(図9、図10)。独特の愛らしいスタイリングに目を惹かれるが、先進的な電子技術も多数搭載している。
  ピボ2は3人乗りで、ドアは一般的なクルマと異なり、キャビン前面に配置している。ただし球形のキャビンは360度自由に回転できるため、どの方向からでも乗り降りが可能だ。この回転する球形キャビンは前回の東京モーターショーに出展された先代「ピボ」から受け継ぐデザインだが、ピボ2は各タイヤを自在に制御できる「メタモ・システム」となった。これによりクルマを前後でなく、真横に移動させることも可能で、縦列駐車も簡単。バイワイヤ技術でこの独立したタイヤ制御を実現している。動力は4輪それぞれに高出力かつ薄いディスク型の「3Dモーター」を採用したインホイールモーター形式だ。床下に配置したリチウムイオンバッテリーを使用する。
  室内ではダッシュボード上に、ドライバーの顔画像を認識する「ロボティック・エージェント」を搭載。操作に必要な情報だけでなく、ドライバーの状態を推定することで休憩を促すなど、さまざまなメッセージを発する。またハンドルやペダル類、そして液晶ディスプレイなどは開閉するフロントドアに組み込まれている。

EVにも走る楽しさを

図11 「i MiEV」の急速充電用プラグ 図12 三菱自動車の「i MiEV」 図13 三菱自動車の「i MiEV SPORT」
図11 「i MiEV」の急速充電用プラグ
電力会社と共同開発中の急速充電器を使えば30分で充電が完了する。
図12 三菱自動車の「i MiEV」
三菱と共同研究を進めている東京電力のブースにも、同社が共同研究に使用している「i MiEV」の実車が展示された。
図13 三菱自動車の「i MiEV SPORT」
走りのイメージを予感させるボディに3つのモーターを搭載して4輪を駆動するスポーティーなEVコンセプト。

 三菱自動車は、前回の東京モーターショーでも軽自動車「i」をベースとしたEVである「i MiEV」を展示し、現在は電力会社との共同研究や実証走行試験を行っている(図11、図12)。急速充電器を使えば30分で80%、家庭用100V電源なら約14時間でフル充電できる。フル充電からは160kmの走行が可能だ。
 このi MiEVに、優れた走行性能を融合させたスポーティーなEV「i MiEV SPORT」を発表(
図13)。前輪左右にインホイールモーター、そしてリアに後輪用のモーターと、3つのモーターを搭載。各モーターの出力を最適に電子制御するE-4WDシステムにより、4WD化を実現。加えてE-AYC(electric active yaw control)、ABS、ASCなども導入している。
 またエネルギーを有効活用するエネルギーリサイクルシステムを搭載。回生ブレーキだけでなく、ルーフには太陽電池パネル、フロントバンパーには風力発電用ファンといった補助発電装置を組み込んでいる。

原点回帰のハイブリッド・スポーツカー

図14 ホンダの「プヨ」 図15 ホンダの「CR-Z」 図16 ホンダの「シビック・ハイブリッドレーサー」
図14 ホンダの「プヨ」
柔らか素材の「ジェルボディ」で衝突安全性も高めたという燃料電池搭載のEVコンセプト。
図15 ホンダの「CR-Z」
ホンダ流のハイブリッド・スポーツカーの未来系を示す次世代ライトウェイトスポーツ。
図16 ホンダの「シビック・ハイブリッドレーサー」
ニュルブルクリンク24時間耐久レースに出場したハイブリッド・レースマシン。

 本田技研工業は、燃料電池を搭載するコンセプトカー「プヨ」を出展した(図14)。全長2800mmとコンパクトで、ボディを触ったときのぷよぷよとした感触から命名したというとおり、ボディに柔らかい素材を用いた「ジェルボディ」が特徴だ。またこのボディはそれ自体が発光し、周囲に走行状態を知らせるという機能も備える。
 「CR-Z」は環境に対する負荷を抑えた上で、誰もが運転する楽しさを味わえるライトウェイトスポーツカーのデザインスタディ(図15)。ダイナミックなデザインと、80年代の「CR-X」の再来とも取れる車名で注目を集めた。パワーユニットは詳細は公開されていないが、クリーン性能とトルクフルな走りを備えた独創のハイブリッドシステムだ。またその性能を極限まで引き出すため、ボディの軽量化を徹底的に追及しているという。
 また、既に市販が開始されている「シビック・ハイブリッド」に加え、2007年ニュルブルクリンク24時間耐久レースに出場した「シビック・ハイブリッドレーサー」の実車も展示(図16)。モータースポーツ活動においての環境配慮についても実際に行動を起こしていることをアピールしていた。

航続距離を2倍にする電池材料

図17 スバルの「G4e CONCEPT」 図18 「G4e CONCEPT」に搭載された次世代リチウムイオンバッテリー
図17 スバルの「G4e CONCEPT」
5名フル乗車が可能な普通自動車サイズでありながら、EVとして約200kmの航続距離を実現した。
図18 「G4e CONCEPT」に搭載された次世代リチウムイオンバッテリー
会場にはスバルが独自に開発した次世代リチウムイオンバッテリーが1/1、そしてシャーシへの搭載イメージを示す1/8の模型で展示された。

 富士重工業(スバル)は、次世代コンパクトEVコンセプト「G4e CONCEPT」を出展した(図17、図18)。G4e CONCEPTは5名乗車が可能な普通自動車サイズでありながら、200kmの航続距離を実現。航続距離を伸ばす原動力となったのが、スバルが独自に新開発した次世代リチウムイオンバッテリー。正極に独自の高容量バナジウム材料を採用、そしてリチウムイオンを効率良く電極に取り込む技術により、同重量のマンガン系リチウムイオンバッテリーに対して約2倍のエネルギー密度を実現。このバッテリーは全て床下に搭載され、低重心化とフラットで広い足元空間の実現に寄与している。

図19 マツダの「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」
図19 マツダの「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」
水素+ガソリン+ハイブリッドシステムを搭載し、2008年度中のリース開始を目指す。
  マツダは、2006年からガソリンと水素を燃料として使用できる「RX-8ハイドロジェンRE」のリース販売を開始しているが、今回発表した「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」はこのデュアルフューエルシステムに加えてハイブリッドシステムも採用した(図19)。ハイブリッドシステムにより、水素ロータリーエンジンの課題である低速度域のトルクアップと効率改善を実現し、水素使用時の航続距離も200kmを達成した。2008年度のリース販売開始を目指す。

 

 

 

図20 スズキの「PIXY」
図21 スズキの「SSC」 図22 PIXYを搭載するSSCのマリンコンセプト
図20 スズキの「PIXY」
コミュニティ内を歩行者とほぼ同じ速度で移動する低速移動ツール「PIXY」。運転には直感的に操作できるマウス型コントローラーを採用。
図21 スズキの「SSC」
軽自動車ユニット「SSC」はPIXYを2台搭載し、コミュニティ間を高速移動できる。PIXYのドライバーはPIXYに乗車したままSSCに乗り込み、操縦する。
図22 PIXYを搭載するSSCのマリンコンセプト
ほかにレーシングカーコンセプトも展示。飛行機とつながれば陸海空を制覇できることに。

 スズキは低速移動ツール「PIXY」と、軽自動車ユニット「SSC」を組み合わせることで、サステイナブルモビリティを提案。PIXYはモーターで後輪を駆動する一人乗りEV(
図20)。最高速度は6km/hで、衝突防止センサーや超広角リアビューカメラを搭載し、ソフトなボディとするなど、歩行者にも配慮。SSCはPIXYを2台搭載すると同時に、ドライバーがPIXYに乗ったまま運転できる移動ユニット(図21)。動力源は燃料電池+インホイールモーターだ。コミュニティ内はPIXYでゆっくりと、コミュニティ間はSSCで高速移動というコンセプトだ。

図23 スズキの「クロスケージ」
図23 スズキの「クロスケージ」
空冷式燃料電池を採用した125cc相当の二輪車。水素タンクをクロス(X)型のフレームでガードしている。

 二輪車ブースでは、英Intelligent Energy社の空冷式燃料電池を採用した「クロスケージ」を発表した(図23)。125ccクラスの二輪車を想定しており、350気圧タンクからの水素を使っての航続距離は200km。すでに先行開発を終えており、早期に海外での公道走行試験を行う方針だ。

 

 

 

 

図24 メルセデス・ベンツの「S300 BLUETEC HYBRID」
図24 メルセデス・ベンツの「S300 BLUETEC HYBRID」
ディーゼルエンジンで世界トップレベルの環境性能を実現したBLUETECにハイブリッドを組み合わせた。

 ドイツDaimler社の「S300 BLUETEC HYBRID」に搭載されたハイブリッドシステムは、世界最高レベルの環境性能を実現しているディーゼルエンジン「BLUETEC」とモーターを組み合わせ、大排気量V8ガソリンエンジン並みの出力と、約18.5km/Lという高燃費、そして142g/kmのCO2排出量を実現する(図24)。欧州連合(EU)のEU6、米国のBIN5など厳しい排出ガス規制にも適合できるという。
また、Daimler社は2010年夏に、燃料電池量産車の第1号として「BクラスF-Cell」を導入すると発表。改良型モーターを搭載することで最高出力136PSを発揮、2リッターガソリンエンジン並みの動力性能と、約34.5km/Lの高燃費を両立するという。


 

 

図25 Audi社の「メトロプロジェクト・クワトロ」 図26 Audi社の「メトロプロジェクト・クワトロ」
図25 Audi社の「メトロプロジェクト・クワトロ」
TFSIエンジン+ハイブリッドで得意とする4WDシステムを構築した。
図26 Audi社の「メトロプロジェクト・クワトロ」
ラゲッジスペース下に41PSを発揮するモーターを搭載、一般家庭のコンセントより充電することも可能で、モーターのみでも約100km走行できる。
 ドイツAudi社はサブコンパクトセグメントに属するデザインスタディとして「メトロプロジェクト・クワトロ」を世界初公開(
図25、図26)。3ドア・4シーターのコンパクトでスポーティーなクーペだが、そのパワートレインはフロントにAudi社が誇るTFSIエンジン、リアにモーターを搭載するプラグインハイブリッドだ。
  このメトロプロジェクト・クワトロではガソリンエンジンのみが作動しているときは前輪のみを駆動、モーターのみが作動しているときは後輪のみを駆動する。エンジンとモーターが同時に作動した場合は、4輪全てが動作するというシステムだ。燃料消費はガソリンエンジン車と比較して約16%削減し、CO2排出量は112g/km。またモーターのみの走行でも航続距離は100kmを超える。会場ではこのコンセプトを活かした車両を2年後に市販すると発表した。

図27 BMW社「Hydrogen 7」
図27 BMW社「Hydrogen 7」
水素エネルギーを燃料とするラグジュアリーセダン。国内でも公道試験走行が始まっている。
 ドイツBMW社は、同社初となるハイブリッド・コンセプトカーである「Concept X6 ActiveHybrid」を展示。「X5」「X3」に続く、BMWでは「S.A.C」(sport activity coupe)と呼んでいる新型SUVコンセプトにハイブリッドを組み込んだ。
  あわせて水素を燃料とする「Hydrogen 7」も実車を展示(
図27)。現在、日本全国をキャラバンして公道走行試験を行っており、BMWが考える次世代エネルギーはひとつに限らないことを示しているといえるだろう。


 

 

 

 

図28 Volvo社のリチャージ・コンセプト
図28 Volvo社のリチャージ・コンセプト
現在のハイブリッド車に比べ、CO2排出量を66%削減するというプラグインハイブリッド。
 スウェーデンVolvo社は、インホイールモーターの「リチャージ・コンセプト」を展示(
図28)。エンジンとモーターを搭載し、外部から充電できるのでプラグインハイブリッドといえるが、エンジンによる直接走行モードはない。基本的にはバッテリーでモーターを駆動するが、バッテリー充電量が少ない場合はエンジンが発電機を駆動して各モーターに電力を供給するのが特徴だ。家庭用電源による充電が可能で、満充電時の航続距離は約100km。燃費は同クラスのガソリン車に比べ約80%低減、またCO2排出量は現在のハイブリッド車に比べて約66%削減できるという。

 

 

図29 Citroen社の「C-CACTUS」
図29 Citroen社の「C-CACTUS」
ディーゼルハイブリッドを搭載。サイドウィンドウはスライド式にするなどシンプルな構造が随所に見受けられる。
  フランスCitroen社は、ディーゼルエンジン+ハイブリッドのコンセプト「C-Cactus」を展示した(
図29)。29.4km/Lと発表されている低燃費もさることながら、クルマとしての基本機能に特化しており、シンプルな構造と可能な限りリサイクル素材を使用していることも特徴だ。

 

 

 

 

クリーンディーゼル時代が到来か

図30 日産自動車の「インティマ」 図31 ホンダの次世代ディーゼルエンジン「i-DTEC」
図30 日産自動車の「インティマ」
クリーンディーゼルエンジンを搭載、高いデザイン性だけでなく環境性能にも配慮した次世代セダン。
図31 ホンダの次世代ディーゼルエンジン「i-DTEC」
TierIIBin5をクリアするホンダの次世代ディーゼルエンジン。
図32 三菱自動車の「Concept-ZT」 図33 三菱自動車の「Concept-CX」
図32 三菱自動車の「Concept-ZT」
2.2Lクリーンディーゼルエンジンを搭載するプレミアムセダン・コンセプト。
図33 三菱自動車の「Concept-CX」
コンパクトSUVの新たな形を提案する「Concept-CX」の心臓部もクリーンディーゼル。

 遅れが指摘される国内勢のクリーンディーゼル技術だが、今回の東京モーターショーでは積極的な展示が目立った。
  日産はこれまで提唱してきた「モダンリビングコンセプト」から、新たなる「アートリビングコンセプト」を謳う高級セダンコンセプト「インティマ」を出展(図30)。観音開きの前後ドアや、デザイン性の高いインテリアに目を惹かれるが、その心臓部はV6のクリーンディーゼルエンジンだ。
  欧州市場を中心にコモンレール式直噴ディーゼルターボエンジン搭載車を市販しているマツダは、次世代クリーンディーゼルエンジンを展示。高燃料圧コモンレールシステムで制御されるピエゾインジェクタや軽量化、2ステージターボチャージャにより、より高回転までストレスなく廻り、さらに規制に適合するクリーンエミッションの実現と燃費の10%向上を目指し、開発が進められている。
  ホンダは、2003年に欧州市場に導入し、高い評価を得た「i-CTDiエンジン」をベースに、さらにクリーン性能を高めることを目標とした新世代ディーゼルエンジン「i-DTECエンジン」を展示した(図31)。
  三菱自動車は、2台のディーゼルエンジン搭載コンセプトカーを展示。「Concept-ZT」はこの東京モーターショーで世界初公開となった(図32)。エンジンはコモンレールシステム、ピエゾインジェクタ、そしてVD/VGターボチャージャを搭載した高出力、低燃費の2.2L新開発クリーンディーゼルエンジン「4N14」を搭載。トランスミッションは「ランサーエボリューションX」にも搭載されるTwin Clutch SSTを組み合わせている。
  「Concept-CX」はコモンレール+ソレノイドインジェクタの「4N13」クリーンディーゼルエンジンを搭載するコンパクトSUVコンセプト(図33)。こちらもTwin Clutch SSTが組み合わされ、走行性能と環境性能を高いレベルで両立する。

ガソリンとディーゼルを融合

図34 メルセデス・ベンツのコンセプト「F700」 図35 2.4リッターコモンレールディーゼルターボエンジン 図36 Peugeot社の「907HDi FAP」
図34 メルセデス・ベンツのコンセプト「F700」
自己着火方式でディーゼルエンジンのメリットをも実現した「DIESOTTO」+ハイブリッドで高い走行性能と環境性能を両立した。
図35 2.4リッターコモンレールディーゼルターボエンジン
「アルファ・スパイダー2.4JTDM Qトロニック」に搭載される2.4リッターコモンレールディーゼルターボエンジン。
図36 Peugeot社の「907HDi FAP」
24時間の過酷な耐久レースを走りぬき、総合2位に入賞したディーゼルエンジン搭載車だ。

 ドイツDaimler社は、メルセデス・ベンツが提言する未来のツーリングセダンとして「F700」をワールドプレミアとして展示(図34)。その未来的なデザインもさることながら、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンそれぞれのメリットを兼ね備えた「DIESOTTO」エンジンが注目を集めた。
  DIESOTTOは新開発のコントロールド・オートイグニッションと直噴、ターボチャージャを組み合わせることで、ガソリンエンジンの特徴である高出力と、ディーゼルエンジンの利点である低速のトルク特製、燃費効率を兼ね備えたもの。CO2排出量は127g/ km、燃費は18.8km/Lと高性能。

 日本ではスポーティーなクルマというイメージが強いイタリアAlfa Romeo社は、クーペボディの「アルファGT」に1.9リッターJTDM(コモンレール式ディーゼルターボ)エンジンを搭載する「アルファGT1.9JTDM Q2ディスティンクティブ」と、オープンボディの「アルファ・スパイダー」に2.4リッターJTDMエンジンを搭載する「アルファ・スパイダー2.4JTDM Qトロニック」を展示(図35)。どちらもイタリア仕様車であり、日本国内への正式導入が発表されたわけではないが、環境を気にするクルマ好きにとっては時代が確実に変わっていることを実感できる展示車両であった。
  フランスPeugeot社は、2007年のル・マン24時間耐久レースに出場し総合2位入賞した「907HDi FAP」を実車展示した(図36)。同じくル・マンで総合優勝を果たしたAudi社の「R10 TDI」も同じくディーゼルエンジンであり、モータースポーツの世界にもディーゼルエンジンの潮流は確実に押し寄せている。

3種のエンジンコンセプト

図37 トヨタ自動車の「iQ CONCEPT」
図37 トヨタ自動車の「iQ CONCEPT」
プレミアム感を演出、効率の良いパッケージングでCO2排出量削減を狙う。
図38 マツダの「大気」
図38 マツダの「大気」
次世代RENESISを搭載するマツダのスポーツカーコンセプト、「Nagare」デザイン第4弾となる。
 ドイツVolkswagen社は全長3680mm、全幅1630mmのコンパクトなサイズでありながら、一回り大きなクルマに匹敵する室内スペースを実現したコンセプト「space up!」を世界初公開した。パワーユニットはリアに搭載、詳細な内容は発表されていないが、ガソリン、ディーゼルエンジンに加え、エレクトリックの3種類が用意されるという。
  トヨタは効率的なパッケージングによりCO2排出量削減を狙う「iQ CONCEPT」を発表(図37)。全長3mを切るコンパクトなクルマでありながら、大人3人+子供1人が乗車可能、またインテリアの細部にまでクオリティと機能性を追及することでプレミアム感を演出する。
 マツダは自然界の動きを反映する「Nagare」デザインをテーマとし、数々のコンセプトカーを発表してきたが、今回はその第4弾として「大気」を展示した(
図38)。デザインコンセプトは空気の流れ、まさにコンセプトカーといった大胆なデザインが、マツダのスポーツカーコンセプトを全身で表現している。パワーユニットはロータリーエンジンに直噴システムを搭載する次世代RENESISだ。

 

 

 

 

 

近未来のクルマを予感させる
伝送システムやセンサー類

図37 トヨタ自動車の「iQ CONCEPT」
図39 パイオニアの車載IEEE1394システム
高速伝送とワイヤーハーネスの削減および軽量化を実現する。
 パイオニアは、パソコンのバスインターフェース規格「IEEE1394」を利用してフルHD映像を送信するデモンストレーションを行った(図39)。自動車の後部座席で映像コンテンツを楽しむ「リアシートエンタテインメント」を対象としたもので、アイベックス・テクノロジー、米Texas Instruments社、矢崎総業との共同開発。毎秒1Gビット相当のフルHD映像を、アイベックスの技術を基に50Mbpsに圧縮して送信し、受信側で再展開する。IEEE1394のインターフェースはTI社が、接続ケーブルとコネクタは矢崎総業が担当した。受信側における映像の遅延時間は8ms。また展示では、光ケーブルと銅線のどちらで接続しても同じ性能が出ることを示すために、実際に付け替えられるようにしていた。ノイズに強い光ケーブル、設計自由度とコストに優れる銅線のどちらでも選択できる。

図40 松下電器の車載用小型マルチレコーダ
図40 松下電器の車載用小型マルチレコーダ
SDカードを利用して、カメラ映像やGPSによる位置情報などを記録する。
 松下電器産業は、車室内外複数のカメラ情報を記録できるドライブレコーダを展示(図40)。記録メディアはSDカードで、車外3つ、車内1つ、計4つのカメラの画像をマルチに記録するとともに、カーナビとも連携して、GPS情報などを元に位置、時刻、速度、さらには衝撃検知システムからの情報も一緒に記録する。画像処理エンジン、画像記録エンジンなども搭載し、毎秒30フレームのMPEG-4画像4チャンネル分を2GBのSDカード1枚に最大12時間分記録できるという。

 

 

 

図41 松下電器の小型のリヤビューモニターシステム
図41 松下電器の小型のリヤビューモニターシステム
パナソニックが参考出品したものでモニターとカメラが一緒になっている。
図42 三洋電機の車載用無線カメラシステム
図42 三洋電機の車載用無線カメラシステム
JPEG処理で50ms以下の低遅延での無線LAN伝送を可能にしている。
また、モニターとカメラが一緒になった小型のリヤビューモニターシステムも出品した(
図41)。ナビ無しでもカメラが使えるようにモニターとカメラをワンパックにした製品で「低価格で発売する」とのことだったが、実際に2007年12月から3万9900円で市販している。08年にはワンセグチューナーモデルも用意する予定。

映像伝送を無線で行なうというのが三洋電機。同社の車載用無線カメラシステムは、車載カメラからモニターへ映像を無線伝送する際、高速JPEG処理することで、50ms以下の低遅延での伝送が可能で、毎秒30フレームの伝送レートを確保する。802.11a/gの無線LANを使うため、敷設工事が不要で工賃が削減できるのも大きなメリットだ(図42)。

 

 

 

 

 

 

 

新タイプの車載センサーも

図43 ボッシュのエアコン用CO2センサー 図44 オムロンのドライバーモニターセンサー
図43 ボッシュのエアコン用CO2センサー
内気循環にすることでCO2濃度が上がり、倦怠感や集中力の低下、頭痛などが起きるのを防ぐために開発された。
図44 オムロンのドライバーモニターセンサー
二次元顔画像からドライバの状態を推定する技術となっており、わき見検知や居眠り検知が可能だ。
 車載用のセンサーといえばエアバッグ用の加速度センサーやカーナビに用いられるジャイロセンサー、また今後幅広く使われるとされるミリ波レーダーなどが知られているが、ちょっと変わったものも展示されていた。
 たとえばボッシュのCO2センサー(
図43)。これはエアコンに搭載することでクルマの室内のCO2濃度を測定し、内気と外気を適切に切り替えて、燃料消費量を節約しながら、快適な車内環境を実現させようというもの。MEMS製のスペクトル検知素子を採用して実現させている。
  また矢崎総業の水素ガス漏れセンサーは、今後燃料電池車にとって必須のセンサーだ。やはりMEMS技術が用いられており、0.53sという高速応答時間を実現している。
  オムロンが参考出展したのはパッシブエントリシステム用の非接触ドアハンドルセンサー。これは手がドアハンドルに触れようとする動きを察知し、自然な動作で快適乗車を実現しようというものだ。従来のものは「タッチまたはプッシュ」してから「引く」という2アクションだったのが、手の動きだけをうまく捉えることで、「引く」だけの1アクションで解錠できるようになっている。
  そのオムロンはドライバーモニターセンサーも参考出展(図44)。これは、単なるデバイスではないが、二次元顔画像からドライバーの状態を推定する技術となっており、わき見検知や居眠り検知ができるほか、顔向きや視線を捉えることで、手を使わずに機器を操作できるハンズフリーインターフェースを実現できる。
 
図45 デンソーの体調モニター 図46 デンソーのセンシングシステムのデモンストレーション 図46 デンソーのセンシングシステムのデモンストレーション
図45 デンソーの体調モニター
ステアリングを握るだけで体温や脈拍を計測できる。
図46 デンソーのセンシングシステムのデモンストレーション
ミリ波レーダーで認識した障害物(上)を、カメラ画像から切り出して車両かどうかを認識する。
 デンソーは、安全技術をはじめさまざまな応用が可能なセンサー関連の要素技術を展示した。体調モニターは、ステアリングを握ると体温や脈拍などを読み取るもので、トヨタの健康をテーマにしたコンセプトカー「RiN」に採用されている(図45)。
  またカメラ、ミリ波レーダーなどを利用したセンシングシステムのデモンストレーションも行った(
図46)。ミリ波レーダーから障害物の位置情報を得て、カメラ画像から障害物の部分だけを切り出し、車両かどうかを認識するプロセスや、画像の流れから割り込み車両を検出するなど、さまざまな機能を紹介した。
 
図47 デンソーのマイクロプリズム製造プロセスとレーザースキャナモジュールの拡大模型
図47 デンソーのマイクロプリズム製造プロセスとレーザースキャナモジュールの拡大模型
デンソーブースでは、センサーデバイスに利用されるMEMSに関する技術展示も目を惹いた。同社製品にも多数採用されている加速度センサーに加えて、従来の機械式レーザースキャナの100分の1サイズとなる「マイクロレーザースキャナ」用のプリズムを試作展示した(図47)。製造プロセスは、まず高アスペクト比の溝を多数入れた状態で、さらにプリズムの形状もシリコン基板上に残るようにエッチングを行い、これを熱酸化処理すると、その溝を埋めるようにシリコン(Si)が酸化してガラス(SiO2)に変化し透明なプリズムになるというもの。「エッチング、熱酸化ともに1プロセスで完了する」(デンソー)という。今後は、光源部となるレーザーダイオードや受光センサーなども含めて開発を進め、次世代の自動車用安全システムなどに応用していく方針だ。



図48 ダイハツのOPCS
図48 ダイハツのOPCS
自動車のモックアップの周辺にいる来場者を検知して、上方から撮影したカメラ映像に検知位置を白い丸印で重ね合わせて左上のディスプレイに表示している。
図49 三菱電機のミリ波レーダーモジュール
図49 三菱電機のミリ波レーダーモジュール
FM−パルス・ドップラーレーダー方式によりゴーストが発生しない。
 ダイハツ工業は、レーザーレーダーを使って水平360度全方位をセンシングできる「OPCS(omni-directional pre-crash safety support system)」を参考展示した(図48)。水平方向240度の範囲を検知できる独Ibeo Automobile Sensor社製のレーザーレーダーを自動車の前方左側と後方右側に搭載しており、これにより周辺全方位の障害物を認識できるようにしている。「レーザーレーダーは、ミリ波レーダーと比べて安価で方位分解能が高く、距離分解能も同程度あり、検知範囲も0〜100mと実用に問題はない。課題は霧など天候条件への対応になるだろう」(ダイハツ)という。
 三菱電機は、FM−パルス・ドップラーレーダー方式のミリ波レーダーモジュールを参考展示した(図49)。従来の周波数変調連続波方式で発生するゴーストが出ないので、市街地などの低速走行時の認識力に優れる。また、従来は3〜4本だったレーダービームを8本にすることで、より正確な車両検出が可能になるという。距離範囲は1〜200mで、角度範囲は8度。数年前から参考出展を続けている製品だが、かなり製品化の時期が近づいていることを印象付けた。

 

 

 

 

 

 

 

(藤本 健、大坪 知樹、朴 尚洙)

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